等位構造の分析方針


等位構造は, 生成文法の研究者にとって非常に難しい研究対象である. 以前の生成文法では句の等位接続は共通部分を省略する規則(等位接続縮約 (coordination reduction))によって派生されると考えられていた. 例えば, 1, 2の文章を見てみよう.

  1. Kudo and Matsunaga sing.
  2. Kudo sing and Matsunaga sing.

1と2の文章はともに適格な構造をしており, 1の文章は共通しているsingの部分を省略して派生したと考えることもできる. このことから共通部分を省略するという分析が可能である.

しかし, それでは説明できない事象がある. 例えば, 3, 4の文章を見よう.

3.

a. Kudo and Matsunaga met.
b. * Kudo met and Matsunaga met.

4.

a. Japan’s National flag is white and red.
b. ?Japan’s National flag is white and Japan’s National flag is red.

これらはaの文は適格であるが, bの文は非文もしくは意味の解釈が変わってしまう. これらのことから単純に省略だけでは説明ができず, なおかつ文の等位接続とは独立した, 基本的な句的等位接続の存在が示唆されている.

参考文献

  • Haspelmath, M. (2004). Coordinating constructions: An overview. In M. Haspelmath (Ed.), Coordinating constructions (pp. 3-39). John Benjamins Publishing Company. https://doi.org/10.1075/tsl.58.03has

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