CSCについて


以前の投稿で, Coordinate Structure Constraint(CSC)について言及したが, 今回はこのCSCについてより詳しく見る.

まず, CSC(等位構造制約)の概要をまとめると, 「and」や「or」といった接続詞で結ばれた等位構造の内部の要素は, 原則として自由に移動できないとする制約である. これはRoss (1967)によって最初に提唱された.

In a coordinate structure, no conjunct may be moved, nor may any element contained in a conjunct be moved out of that conjunct.

(Ross, 1967, p. 89)

結合構造においては, いかなる接続要素(conjunct)も移動してはならず, また, 接続要素に含まれるいかなる要素もその接続要素の外へ移動してはならない.

(ChatGPT 訳)

他方で, 以前確認したAcross-the-Board(ATB)現象は, この制約が適用されない例外的な現象である. だからこそ, 「両方の節から一律に」要素を抜き出すATB現象は特殊であると考えられる.

近年では, CSCは絶対的な統語規則ではなく, 対称的な構造は対称的に扱われるべきだという, より深い意味論的な並列性の要請から生じる効果だとする見方も出てきている.

参考文献

  • Ross, J. R. (1967). Constraints on variables in syntax (Doctoral dissertation, Massachusetts Institute of Technology). Published as Infinite syntax! Norwood, NJ: Ablex, 1986.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です