SVOとSOVの違い


生成文法では, 様々な言語を対象に研究が行われてきた. 日本語も精力的に研究されてきた歴史があり, 生成文法の理論に基づいた様々な分析が行われている.

しかし, 日本語と他の言語, 例えば英語などを比べると, 様々な違いが存在し, 分析の観点や必要となる検討事項も異なってくる.

その中でも, 大きな違いの1つとして, 基本的な語順の体系が異なるということが挙げられる. 一般的には, 日本語はSOV型の言語であり, 英語はSVO型の言語であるとされている. この違いが分析の困難さを生むとしてHirata (2011) はそのabstract内で下記のように述べている.

しかし,英語をはじめとするSVO 言語と比べ,SOV 言語である日本語の分析には様々な困難が伴うことになる。その理由の1つは,SVO 言語に比べSOV 言語の場合,句構造中での言語要素の移動が音声形式に現れにくいところにある。そのため,日本語の基本的な句構造に関して多種多様な分析が提案され,多くの点で未解決の部分が多い。

(Hirata, 2011, p. 1)

別のシンプルな言い方をすれば, 日本語のような言語は, 移動が目に見える形で現れにくいということである. 目に見えないものを理論化しようとすれば, それは抽象度を増すことになり, よく言えば, 理論の自由度が高くなるが, 悪く言えばどんな理論でも立てられるということになってしまう.

こういった言語間の違いというものも研究の際には留意しなければならないだろう.

参考文献

  • 平田, 一郎. (2011). 日本語の句構造 : 述語の等位接続を手がかりに (博士論文, 筑波大学). https://cir.nii.ac.jp/crid/1910865335687594112

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