それぞれの節
言語分析においては, 様々な単位が存在しているが, その単位の1つが節 (Clause) である. 今回は Carnie (2021) の Chapter 7 をもとに, この節の分類である「埋め込み節」と「主節」について整理しておきたい.
まず前提として「節 (Clause)」とは, 主語と述語のセットを指す. しかし, 文の中に節が複数含まれる場合, その数え方や分類には注意が必要である.
- 主節 (Main / Root clause): 文の最上位にある構造 (Root TP) を指す. 他のどの節にも埋め込まれていない, 文全体の構造そのものである.
- 埋め込み節 (Embedded / Subordinate clause): 動詞の補部 (Complement) など, 他の句の中に組み込まれた節 (CP など) を指す.
次の文を具体的に見てみよう.
- Ishiyama watches that Endo dances.
この文においては次のようになる.
- 主節: Ishiyama watches that Endo dances.
- 埋め込み節: (that) Endo dances.
注意が必要なのは, 主節は “Ishiyama watches” だけではなく, 文全体を指すということである. これは次の2つの理由による.
- “Ishiyama watches” のみでは構成素を成さないこと.
- 埋め込み節は主節と並列に並んでいる別個の存在ではなく, 主節という大きな構造の中に組み込まれた一部分であること.
参考文献
- Carnie, A. (2021). Syntax: A generative introduction. John Wiley & Sons.