言語学の研究において, 説明的妥当性(explanatory adequacy)と記述的妥当性(descriptive adequacy)は, 言語理解の深化において重要な概念である. 人間の言語は非常に複雑であり, 実際に観察される現象とそこから抽出される一般性には大きな乖離があることが容易に想像できる.

当初の研究の主目的は, まず「観察的妥当性(observational adequacy)」の達成から始まった. これは, 個別言語の事実を発見し, 文法が観察されたデータと一致し, それを文構造として明示的に記述できることを示す段階である. 次に, この観察に基づく記述がより高度なレベルに達し, 「記述的妥当性」と呼ばれる段階に進んだ. この段階では, 文法が心理学的に根拠を持ち, 観察されたデータに基づいて言語の構造や規則を明示的に定式化することが求められる.

近年の研究では, これらの妥当性を超えて, 言語がどのように進化し, 人類に特有のものとして出現したのかという, より深い問いに焦点が移っている. この問題は, ミニマリスト・プログラム(Minimalist Program)の一環として, 言語の特性そのものではなく, なぜその特性が存在するのかを探求する方向へと進んでいる.

参考文献

  • 今井, & 外池. (2019). チョムスキーの言語理論: その出発点から最新理論まで.

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