袋小路文
人間は言語を解釈する際に, その文を分析しながら解釈を進める. しかし, 時には使用される表現の頻度が多いことなどによって誤った分析に気づかないうちに入ってしまうことがある. こういった文章の代表例としてGarden Path Sentences(袋小路文)というものがある.
有名な例として次の文章を見てみよう. (この文章は有名なのだが, 原著が私の方では見つけられなかった.)
The old man the boat.
これは一見すると非常に理解しづらい. なぜならば, パッと見ただけではこの文章内の動詞が判別できず, まるで名詞の羅列に見えるからである. しかし実は ‘man’ には「~を操作する」という意味の動詞としての用法が存在する. これを踏まえてみると, 実はシンプルなSVOの構造を持つ文章であることがわかる. つまり, 我々は普段, “The Old Man”という表現に高頻度で接しており, その流れから今の文章を見たとき, “The Old Man”で一つの構成要素だと誤認識してしまっているわけである. こういったものがGarden Path Sentences(袋小路文)である.
参考文献
- 今井, 中島, 西山 & 外池. (2019). チョムスキーの言語理論: その出発点から最新理論まで.