人間の言語は階層的な構造を持つ。
人間の言語と他の動物の言語を 比べた際、 大きく異なるのが人間の言語は 意味を階層性に依存していると言うことである。
例えば、次の名詞句を考えてみたい。
NP : 小さな動物病院
この1つの名詞句を聞いた際に思い浮かべるものは 人によって2パターンに異なると考えられる。
1つは [小さな動物]病院 という形で、小さなという形容詞が動物を修飾しており、犬や猫やハムスターといったいわゆる小動物のための病院と考えられるパターン。
もう一つは 小さな[動物病院] という形で小さなという形容詞が病院を修飾しており、 犬や猫等の小動物だけではない様々な種類の動物を扱うが、建物 (もしくは経営規模等)のサイズが小さい病院と考えられるパターン。
全く同一の名詞句であっても、このように2パターンの解釈ができるということは人間の言語は意味を線形性ではなく、階層性に依存していることの証左となる。
さらに、この階層構造を持つことによって入れ子の構造が可能になり、再帰的な表現が可能になる。
ということは、この階層性と再帰性によって人間言語は有限の要素から無限の表現を産出することが可能になる。
参考文献
- 畠山雄二. (2017). 最新理論言語学用語事典.
- 原口庄輔, & 中村捷. (1992). チョムスキー理論辞典. 東 京: 研 究 社 出 版.