どのように等位構造は扱われてきたか 2


以前の投稿で, 生成文法には70年ほどの歴史があり, その中で同じ対象でも異なる研究アプローチがとられてきたことをまとめた. 以前の投稿では句構造規則 (Phrase Structure Rule) の時代を対象にまとめてきたが, 今回はXバー理論 (X-Bar Theory) の時代についてまとめておきたい.

Xバー理論のもとでは, ヒトの言語の構造は二股分岐 (binary-branching) する階層的かつ内心的な (endocentric) 構造が生成されると仮定されている.

しかし, この枠組みにおいて問題となったことは, 等位構造 (Coordination) の独特の特徴である. 等位構造は, 二股分岐と主要部 (head) の問題に関して, パラドックスに直面している. 以前の投稿でも見たように, 等位構造は3つ以上の項を自由に, なおかつ (理論的には) 無限に追加することができる. 加えて, その際どの項が主要部になるべきかという問題が発生する.

つまり, Xバー理論の時代においても等位構造には, 基本的な理論だけでは説明し得ない独特の特徴が含まれていた. こういった特徴が, 生成文法における長年の課題である.

参考文献

  • Bode, S. (2024). Coordination and the Strong Minimalist Thesis. Routledge.

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