互いに関係し合うモジュール性


以前の投稿で生成文法の中では, Sensorimotor (SM) system と Conceptual-intentional (CI) system というインターフェースが想定されることをまとめた. そして, その2つの間を演算システムとしての言語が結びつけている. この点に関してFujita (2007)が非常に重要な指摘を行っている.

統語論と意味論は完全に孤立したシステムではあり得ず, 両者間にインターフェイスが成立し情報の受け渡しが行われるからこそ, 統語構造・意味構造の双方向の写像が可能なのであり, 言語の本質はまさにこの写像関係のあり方にあるとも言える. 自律したモジュールとは, 閉鎖系・孤立系を意味してはおらず, それぞれが独自の作動様式に従って領域固有の計算作業を行いつつも, その計算結果は他のモジュールにとって利用可能な形式に変換可能でなければならない.

(Fujita, 2007)

以前の別の投稿で, 統語論の自律性についてまとめたが, その自律性というのは, 決して孤立を意味するわけではない. この観点は, ミニマリストプログラム等の内容を検討していく上で, 非常に重要な指摘であると言えるであろう.

参考文献

  • Fujita, K. (2007). 変化を伴う由来-生成文法による言語の普遍と多様の解読. Viva Origino, 35(4), 136–147.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です