不定冠詞と定冠詞
論文の多くは英語で書かれている. その際に, やはりどれだけ英語を学んでも, 母語話者と非母語話者の英語に関する根源的な差を感じることがしばしばある.
次のチョムスキーの論文でもそうだ.
Note the indefinite article: an optimal solution. “Good design” condi-tions are in part a matter of empirical discovery, though within generalguidelines of an a prioristic character, a familiar feature of rational in-quiry.
(Chomsky, 2001, p. 1)
もちろん, 英語を学んだ身として意味を解釈することは可能であるが, 一方で, こういった不定冠詞であるoptimal solutionと聞いたときに感じる腹落ちのしやすさは, どれだけ英語を勉強しても, 母語話者のそれには辿り着けないのであろう.
これは悔しさでもある. 同時に, これこそが母語話者の持つ感覚の証左であるという点で, 非常に生成文法チックな話に通じているのかもしれない.
参考文献
- Chomsky, N. (2001). Derivation by phase. In M. Kenstowicz (Ed.), Ken Hale: A life in language (pp. 1–52). MIT Press.