ミニマリストプログラムの最重要命題.


生成文法の歴史の中で提案されている1番新しい理論がミニマリストプログラムである.(Chomsky 自身は理論の前段階であることを念押ししており,名前が – 理論ではなく – プログラムであるところにもその意図が表れている)

このミニマリストプログラムの大きい特徴は従来の理論から一新され,言語は極限まで簡潔に設計された最適設計を有していると言う考え方である.

そして,このプログラムを象徴するのが強い極小主義命題(Strong Minimalist Thesis: SMT)である.

Haraguchi & Nakamura (2016)が非常にわかりやすくまとめているため引用したい.

「強い極小主義命題」(SMT)はこれまでになかった新しい (novel)考え方で、研究対象そのもの(例えば、言語機能)が、ある種の最適性(optimality)を有しているという考え方である.つまり、言話システム自体が一種の最適設計になっていて、言語は完盤なシステムであると言う考え方である.
(Haraguchi & Nakamura 2016)

この説明からもわかる通り,Chomsky は ミニマリストプログラムにおいて完全な方向転換をしており、言語を完璧なシステムを有した最適設計で実現されていると考えている. Principals-and-Parameters Aproach などさまざまな提案がなされていたが,(おそらく) 生物学や進化学などの他の分野の発展に伴って新たなアプローチが必要になったのだと思われる. 実際このミニマリストプログラムなら、生物学や進化学との親和性が高い部分もあり, 未だ 発展途上の理論ではあるが、学ぶ価値は非常に大きいと考える.

参考文献

  • 原口庄輔, & 中村捷. (2016). 増補版 チョムスキー理論辞典. 東 京: 研 究 社 出 版.

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