分裂先行詞


人間の言語には, 先行詞と呼ばれるような関係性を持つ表現があり, この先行詞がたびたび生成文法の中では議題に上がっていた. 今回はその中でもSplit antecedent (分裂先行詞) というものを見てみたい.

分裂先行詞とは, 関係節の先行詞が, 主節内の単一の構成素ではなく, 複数の異なる統語的構成素によって共同で表現される現象を指す. Poschmann et al. (2018) から具体例を見てみよう.

  1. Mary met a man and John met a woman [who knew each other well].

(Poschmann et al., 2018)

これを見るとわかるが, 先行詞が明確に分裂していることがわかる. Mary met a manの a manとJohn met a womanのa womanという2つの異なる名詞句に分裂しており, それが先行詞として機能している. これは通常の単一の先行詞を持つ文構造とは異なる構造を持つ分析対象であり, 非常に興味深い現象である. またこの観点は, 私の等位構造の研究にも連なる部分があり, 個人的にも勉強が必要性を感じている分野だ. より深く学んでいきたい.

参考文献

  • Poschmann, C., Bargmann, S., Götze, C., Holler, A., Sailer, M., Webelhuth, G., & Zimmermann, T. E. (2018). Split-antecedent relative clauses and the symmetry of predicates. ZAS Papers in Linguistics, 61, 253-270.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です