統語構造と韻律構造の関係
生成文法では主に言語の統語構造についての研究が行われている. 他方で, それが音になる際, 言語には音韻構造・韻律構造と呼ばれる別の構造が発生することになる. そして, もし仮に人間の言語が統語構造が主体であり, 音韻構造・韻律構造が後に感覚運動システムと結びついて形成されるとするならば, その連動性において一定の相関や制約が見られても不思議ではない.
Truckenbrodt(1999) は他の先行研究に基づき, 次の制約を提案している.
Lexical Category Condition (LCC; preliminary version)
Constraints relating syntactic and prosodic categories apply to lexical syntactic elements and their projections, but not to functional elements and their projections.
(Truckenbrodt, 1999, p. 224)
語彙カテゴリー条件(LCC; 予備的なバージョン)
統語カテゴリーと韻律カテゴリーを結びつける制約は, 語彙的な統語要素とその投射には適用されるが, 機能的な要素とその投射には適用されない.
(Gemini 訳)
これは統語カテゴリーが, その発話の際における韻律構造に影響を与えることを示唆しているものであり, 統語構造と韻律構造の関係性について言及した非常に興味深い研究である.
参考文献
- Truckenbrodt, H. (1999). On the relation between syntactic phrases and phonological phrases. Linguistic inquiry, 30(2), 219-255.