言語能力の発現はいつであるのか.


人間の言語能力が生成文法の主張通り, いわゆる「器官」として存在するのであれば, それは人間という種の進化上のどこかのタイミングで獲得したというストーリーを描くことができる.

その進化のストーリーとしては, 主に2つの説が挙げられる. この2つは主に多地域進化説 (Multi-regional hypothesis) とアフリカ単一起源説 (Out-of-Africa hypothesis) として知られている.

簡単にまとめれば, 多地域進化説は「人類は世界各地で, 同時並行的に進化した」という考え方であり, アフリカ単一起源説は「人類はごく最近, アフリカの一箇所で生まれてから世界へ広がった」という考え方である.

比較項目 多地域進化説 アフリカ単一起源説
人類の拡散時期 約200万年前 約10万年前
共通祖先の場所 各地(並行進化) アフリカのみ

この2つのストーリーは, そのまま言語進化の理論において, 非常に重大な分岐をもたらす. もし多地域進化説を採用するのであれば, 言葉を話すための能力は, 200万年前にはすでに備わっていた, あるいは世界各地でバラバラに独立して進化したと考えなければならない. 他方で, アフリカ単一起源説に基づけば, 言葉はアフリカを出る直前, あるいは種が拡散する過程で獲得された比較的新しい能力(10万年程度の歴史)であると考えることができる.

参考文献

  • McMahon, A., & McMahon, R. (2012). Evolutionary linguistics. Cambridge University Press.

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