ずっとまとめておきたかった,Charles Hockettの提唱する人間言語の16の特徴(うち3つはAltmannとの共著)をまとめたいと思う.

特徴 説明

Vocal-auditory channel

音から聴覚への伝達

言語は音から構成され,聴覚器官を通って伝達される.

(後に,Manual-visual channel つまり動作から視覚器官という伝達経路も追加される.e.g. 手話

Broadcast transmission and directional reception

広範囲への伝達と直接受信

発話音声はあらゆる方向に放射され,あらゆる聞き手が受信可能である.しかし,聞き手はどの発信源からの音を選択することも可能である.

Rapid fading

急速な消失

発話音声は一時的なものであり,永続しない

Interchangeability

 

人間は,年齢や性別に関わらず,聞いた言語を再生産できる.これは自然界において珍しい.

Complete feedback

完全なフィードバック

話者はあらゆる段階において,彼らの発話を観測できる.そして,瞬時に発話内の誤りや不足を認識し,訂正または追加を行うことができる.

Specialisation

特化

発話を行うための器官は,言語に特化していく.(e.g. 唇,舌,声道)

また,聴覚器官は言語の音に特化していく.

Semanticity

意味性

言語は意味を持つ.とりわけ語彙は,集団内での特定の固定化された意味を持つ.

Arbitrariness

恣意性

語彙は固定化された意味を持つが,その語がその意味と結びついている本質的な理由はない.

これにより,言語によって,対象が同じでも語が異なるということが起こる.(e.g. Dog/犬, Cat/猫)

Discreteness

分離性

言語は分離した音の連なりによって構成される.

それぞれの音の差異は非常にわずかなものであるが,我々は違ったものとして捉える.

Displacement

転移

我々は,時間的,または物理的に離れたものについて話すことができる.

(e.g. 未来の話,日本にいながらイギリスの話)

Productivity

生産性

我々はそれまで無かった語を創り出し,理解することができる.また,語を組み合わせることで新しい文を作り出すこともできる.

Traditional transmission

伝統的伝承

言語は,ある世代から別の世代に教授と学習によって伝承されていく.

Duality of patterning

パターンの二重性

言語は二つのレベルで存在している.

一つは意味を持つ語のレベル.もうひとつは,意味を持たない音声によって構成される語のレベル.

Prevarication (added by Hockett & Altmann, 1968)

虚偽性

言語は想像上の情報を伝えることができる.(嘘,物語

,仮説)

Reflexiveness (added by Hockett & Altmann, 1968)

再帰

言語は言語自身について述べることが可能である.(metalinguistic ability)

Learnability (added by Hockett & Altmann, 1968)

学習可能性

人間は幼少期において,生物学的な両親の言語に関係なく,あらゆる新しい言語を学習することができる.

Hockett’s design features of language (Hockett, 1963; Hockett & Altmann, 1968) より引用

 

約50年前のものということを考えると,現代のテクノロジーとの矛盾を感じるところもあるが,非常に綺麗にまとまっているように思う.

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