分野横断型の言語学


私の現在の主要な研究分野は神経言語学という領域である.

この領域の特徴は言語を神経学的な観点から捉えるという その領域の特異的な特徴ももちろんあるが, この他に分野横断型の研究であることが挙げられるだろう.

神経科学は基本的に脳内の神経についての研究であるが, それは当然、生物の臓器の一

分野と言う点で 生物学の延長線上にあると捉えることが可能だ. そう考えると, 生物の重要なメカニズムの一つとして進化というものがある.つまり,神経についても新科学的な考察が必要となる.

このような背景から神経言語学を扱う際には非常に学際的で分野横断型の研究が求められることになると私は考えている.

例えば一例を挙げると, 言語学の中には言語習得の臨界期仮説というトピックがある.これを神経科学の基盤で捉えると脳の可塑性(Plasticity)に結びつけることができ, 生物学の基盤で捉えると動物の成長過程の文脈で 考えることができる. 最後にこれを進化学の観点から捉えると臨界期の長さが進化の過程で調整されたのではというような問いを立てることもできる.

このように複合的な 研究は多様な学問領域の知識を求められて一方でもなかったと言う発見が見つかる可能性があると言えるだろう.

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