計算論的な観点


理論言語学の世界では,生成文法の他にも多数の理論が存在している.

これらの理論は,その裏側にある理論的伝統や,理論自体が扱うアプローチ,観点などが異なるため,さまざまな差異が生まれる.だからこそ,ある理論の方がより適切に捉えられる観点もあるかもしれないし,逆にその理論ではうまく捉えられない観点などもあるのは当然である.

他方でそれらは,計算論的な観点からは,どれも同じような水準にあるとする次の一節を見てみたい.

As far as we can make out, all contemporary linguistic theories that cover the same broad range of empirical examples—from HPSG to LFG to TAG to CCG to minimalist systems—are on a par from a strictly computational point of view. (Berwick & Chomsky, 2016, p. 129)

ここで考えてみたいのは,計算論的に同等ということと,理論的に同じということは別物であるということである.

前述の通り,ある理論は同じ対象でもデータの記述がうまくできたりできなかったりする可能性もあるし,一つの事象を説明するために,ある理論では非常に簡潔に済むが,別の理論では複雑になるかもしれない.

他方,それは理論側で異なる点であるが,計算論的にどうかという部分は,もしかしたら同じくらいの水準にあるのかもしれない.

参考文献

  • Berwick, R. C., & Chomsky, N. (2016). Why only us: Language and evolution. MIT Press.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です