言語の体系


以前の投稿で、人間の言語固有の特徴をまとめてみた。

簡単にまとめれば、人間の言語が他の動物と違う点は下記 2 点に集約できる。

  • 人間の言語は階層的な構造を有し、また階層構造に依存する。
    • 人間の言語は線形の構造ではなく階層の構造により組成される。
    • 人間の言語は情報を階層に依存し他者に伝えることができる。
  • 人間の言語は自身の出力を入力として利用できるという再帰的な構造を実現できる。
    • 人間の言語は文章の中に別の文章を埋め込むことができる。
    • 人間の言語は文章を(理論的には)永遠に伸ばすことができる。

これらをそれぞれ階層構造依存 (Hierarchical Structure Dependence) と再帰性 (Recursion) として別投稿にまとめている。

これらを踏まえて、チョムスキーは言語というものを下記のように考えている。

… a language is a finite computational system yielding an infinity of expressions, …
(Berwick & Chomsky, 2016)

言語は無限の表現を生み出す有限の計算システム
(Watarai, 2017)

我々の一般的な感覚では言語を計算システムとして表現することは馴染みがないが、裏を返せばこれが言語を理論的に捉える理論言語学の面白いところだろう。

参考文献

  • Berwick, R. C., & Chomsky, N. (2016). Why only us: Language and evolution. MIT press.
  • 渡会. チョムスキー言語学講義: 言語はいかにして進化したか.

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