語彙的緊密性


レキシコンとシンタックスの関係性は非常に興味深いが, とても深遠な問いである. その深遠さの1つに, 語の内部構造にシンタックスが干渉できるかという問いがある.

今回はその問いに関連するlexical integrity(語彙的緊密性)というものの説明の一節を見てみたい.

語彙的緊密性 (lexical integrity) と呼ばれる通言語的な仮説がある. この仮説は, 「語の内部には統語的要素が介入しない」ことを主張するものである. このような考え方は, 言語において形態法と統語法とがそれぞれ独自の体系・原理を持つという見方でもあり, 伝統文法にも生成文法などの理論的研究の考え方にも合致するものである.
(江畑, 2018, p. 41)

ここにある通り, 語彙的緊密性という仮説では, 語の内部には統語的要素が介入しないと主張している. これは伝統的な生成文法の見方に合致しており, 幅広く捉えれば語彙はシンタックスへの入力であると捉えることもできるかもしれない.

一方で, 語彙自体も統語的な要素や操作から算出されるというような仮説も存在しており, この語彙とシンタックスの関連性をめぐる問いは, 今なお議論が進んでいる.

参考文献

江畑 冬生. (2018). 統語的要素を入力に含む派生に見る語彙的緊密性(lexical integrity)の問題. 東京大学言語学論集, 39, 41–53.

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