人間の言語学習は生まれか育ちか


前回までで、人間の言語習得には2つの説があること、学習説では刺激の貧困 (The Poverty of Stimulus)の問題を解決できないということをまとめた。

そこで最後に話をするのが生得説である。この生得説によって(チョムスキーは)刺激の貧困 (The Poverty of Stimulus)の問題を克服し、尚且つ短期間で完璧な文法を習得する幼児の特性を説明する。

生得説は端的に言えば、人間は生まれながらにして言語を扱う能力を有している と考える説である。

ここで想定されるのが LAD (Language Acquisition Device)と呼ばれる言語獲得装置である。 この LAD が 我々人間には生まれつき備わっており、この装置を用いることで我々は少ない入力から豊かな出力をすることを可能にしていると考えられている。 言い換えるならば、 この装置があれば刺激の貧困の問題は解消され、なおかつ短時間で言語を習得する幼児の説明も可能になると言うことである。

しかし、 この LAD が どういったものなのかは未だ研究途上である。

参考文献

  • 酒井邦嘉. (2019). チョムスキーと言語脳科学.
  • 原口庄輔, & 中村捷. (1992). チョムスキー理論辞典. 東 京: 研 究 社 出 版.

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