Shared Syntactic Integration Resource Hypothesis (音楽と言語の共有統語融合資源仮説)について


昨日、言語と音楽の関連性について投稿した。

https://sy-linguistics.com/2024/02/18/japanese/language-and-music/

この記事内にて言語と音楽には共通点があり、そういった観点から西洋音楽には生成文法があると主張する論を紹介した。

もし生成文法の観点から論ずることができるなら、それは生得的な能力という発想に繋がり、脳などの神経系に話を移していくことが可能だろう。

そういった文脈からPatel (2013)は Shared Syntactic Integration Resource Hypothesis (音楽と言語の共有統語融合資源仮説)という説を提唱した。

これは階層構造を作るための脳内の認知資源を一部共有している、とする仮説である。興味深いのは、この説は脳内の認知資源は共有しているとするものの、認知表象としては言語と音楽は別物と考えているポイントだ。

実際にfMRI分析によると、プローカ野、ウエルニッケ野、大脳基底校の線条体といった後半にわたる部位が発話処理・音楽処理の双方で活動されることが認められた。

さらに解像力を高めた調査では発話処理・音楽処理は高次聴覚野ではそれぞれ独立した部位が存在することが確認された。

これらからSSIRH は検証に値する仮説と考えられている。

参考文献

  • Patel, A. D. (2003). Language, music, syntax and the brain. Nature neuroscience, 6(7), 674-681.
  • 畠山雄二. (2017). 最新理論言語学用語事典. EBSCO eBooks.

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