脳が構造をどのように処理するか?


人間の言語は「構造依存性」という特徴を持っている. これは言語情報を線形ではなく, 階層構造を持ったものとして処理する特徴である.

生成文法では言語は生得的なものであると考えられている. そのため, この階層構造の処理においても, 具体的な生物学的知見との接続が検討されている. Yusa (2024) は様々な先行研究の実験結果を引用しつつ, 次のように述べている.

構造依存性に従う文法規則の文法性判断課題を行うときは、正答率が向上するにつれブローカ野 (Broca’s area) の賦活が増加した。一方、構造に依存しない規則の場合は、正答率の向上につれてブローカ野の賦活に減少が見られた。もし、言語規則の学習が一般学習メカニズムで行われるならば、両方の規則とも学習できたので、脳の同じ領域が学習以前よりも賦活することが予想されるが、ブローカ野は構造依存に従う規則のみに反応した。これは、ブローカ野が人間言語の基本特性である構造に依存した規則を選択的に好み、言語入力の取り入れに関して生物学的に制約を課し、構造依存に違反する規則は脳が取り込まないことを示唆している

(Yusa, 2024, p. 47)

構造依存を持つものとそうでないもの処理時のブローカ野の活動の差を根拠に, 生物学的な見地を理論と接続している.

このような知見が蓄積されていけば, より確実な生物学的知見の接続も可能になるであろう.

参考文献

  • 遊佐典昭. (2024). 極小主義から見た第二言語獲得における論理的問題と発達問題. Second Language, 23, 37-53.

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