シンプルではない進化


言語が進化上のどこかの時点で発現, もしくは獲得されたことは, おそらく疑いようがない.

しかし, そのストーリーに関しては非常に様々な議論を呼んでおり, 相反する意見などが対立していることは, 以前の投稿でも度々触れている. 今回はその中でも非常に現実的な意見, 簡単に言えば「進化は何か一側面を切り取って結論づけられるようなシンプルなものではない」ということを考えさせてくれる一節をまとめてみたい.

In fact, they seem to need it really badly for survival, as so many other species do. Nature does not just give a species or individuals what they need. Evolving something as useful and complex as language had to be partly a matter of chance or some ‘lucky break’ …, partly a matter of many other factors emerging and converging at the same time, in a positive feedback loop …, and partly a matter of ruthless genetic selection for the phenotypes whose brains were just a bit better equipped to use and learn these newly emerging forms of language.

(Progovac, 2021, p. 30).

この説が非常に現実的な観点を持っているのは, 偶然の要素, 複数の要因の正のフィードバックループ, 遺伝的選択といった複数の要因を考慮し, そのどれもが必要であると論じている点である.

現実的に考えれば, このような複数の要因が重なり合って出来上がったのが我々の人間言語だと考えられるであろう.

他方で理論構築の際, ある種の理想化によってシンプルな要素に還元されてしまうことも分からなくはないが, 地に足をつけた議論というのは, このような複数の要因をもって検討していくべきだと個人的には思う.

参考文献

  • Progovac, L. (2021). Was syntax borrowed from toolmaking? Biolinguistics, 15, 23-33.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です