前回、私は自身が言語学で研究したいことについて記した。しかし、そんなものは夢物語だと感じる人も多いかもしれない。確かに、私の理想言語を実現させるには数々の困難があるだろう。それでも私はこの言語は実現可能であり、その言語には人類を別の生物に変える程の衝撃を持つとの認識に立つ。今回はその理由を述べたいと思う。
最初に我々人類の歴史を振り返ってみたい。私は人類は大きく分けて2つの時代を経験してきたと考えている。「拡張の時代」と「自動化の時代」である。そして、次に来るのは「融合の時代」だと予測する。私は「融合の時代」においてなら理想言語が可能になると考えている。順を追って説明する。
まず、我々の歴史は「拡張の時代」から始まる。拡張の重要なポイントは2つ。「1,自身の進化を不要にすること」「2,共有可能なこと」である。
我々の身体は一般的に他の動物より基本能力が劣っているだろう。我々は肉食獣のように獲物を捕らえ、肉を切り裂くための鋭い爪や牙は有していない。寒さに耐え得る毛皮も持っていない。このように我々の身体能力は自然環境を生き抜くのに適しているとは言い難い。
しかし、我々はそのハンデを「拡張」という技術で克服した。鋭い爪や牙を持っていない。しかし、石器という外部装置を用いて爪や牙に匹敵する、もしくはそれ以上の能力を得てマンモスさえも倒し、食した。さらにはその毛皮を外部装置として纏い、寒さに耐えることも可能となった。自らの身体を進化させるのではなく外部装置で自らの身体を拡張したのである。
さらに、この拡張という行為は個人の身体に依存しないので共有が可能なのである。本来なら、その種が何万年という長い歳月をかけた進化によって獲得してきた牙や毛皮という形質を人類は共有可能な状態で手に入れた。遺伝子情報に依存した進化ならば、優勢種が増殖するまでに何世代もの交配が必要となる。しかし、外部装置で拡張を行う人類は1世代だけでもその形質を手にすることが可能になる。この共有可能性のおかげで、人類はここまで急速に発展したのだと考える。
私はこれを「進化の外注」と呼ぶ。我々は進化を自社開発ではなく外注に依存した為、ここまで早く発展したのだ。
長くなってきたので今回はこのあたりで切り上げたい。次回は「自動化の時代」について書こうと思う。
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